牛とともに暮らしていた江戸時代

松阪牛の歴史が始まったのは、江戸時代です。
江戸時代の日本人は野菜や穀物を中心とした生活を送っていたため、そもそも牛肉を食べるという習慣はありませんでした。
当時はお肉として食べるためではなく、田畑を耕すために牛を使っていたのです。

江戸時代の松阪地方は農業が盛んに行われていたのですが、今のような農業用の機械はなく、牛は力仕事をしてもらう役割でした。

松阪牛の美味しさが全国に知られた明治時代

時代が明治に移って西洋の食文化が日本で人気になり、東京では牛鍋と呼ばれる料理が流行していました。

日本人も牛肉を食べるようになって食用の牛のニーズが高まってきたのです。
そんなとき、山路徳三郎という人物が松阪地方から東京まで、牛を何十頭もつれて売りに行き、瞬く間に東京でも人気が出たのです。
松阪で育った肉を食べる人が増え、松阪の肉は美味しいという評判が広まりました。
松阪の牛が人気となったことで、松阪地方では農作業用として飼育していた牛を食用としても生産する農家が急増していったのです。

“ブランド牛といえば松阪牛”という地位を確立

上質な牛肉を生産したいという生産者の思いで様々な努力を続けた結果、1935年に開かれた全国肉用牛畜産博覧会にて松阪牛は最も高い評価を受けました。
その博覧会をきっかけとして、松阪牛＝高級ブランド牛と認められるようになったのです。今では最もポピュラーなブランド牛として松阪牛の名前が知られています。

1．国産牛の特徴

国産牛と聞くと、日本で生まれて日本で育った牛というイメージがありますが、そうではありません。日本国外で生まれていても、輸入してから日本で加工していれば「国産牛」になります。
国産牛は大きく分けて3つの種類があります。

・和牛

黒毛和種・褐毛和種・短角和種・無角和種の4品種です。9割近くは黒毛和種が占めています。

・交雑牛

交雑牛は、外国産牛との掛け合わせです。販売される際は黒毛牛と表示されていることもあります。上記の黒毛和牛と言葉は似ていますが、種類が異なる点に注意してください。

・ホルスタイン

ホルスタインとは、乳牛のことです。いわゆる牛乳をとることを目的としていますが、ホルスタインだからといって食べられないわけではありません。販売されるときはホルスタインと表示されることは少なく「国産牛」として販売されていることが多いです。

2．輸入牛の特徴

輸入牛は、日本国外で食肉用に加工してから輸入された牛肉のことです。日本で扱っている輸入牛は、アメリカとオーストラリアの2か国が大きな割合を占めています。

・アメリカ産（USビーフ）

アメリカ産の牛肉は、アバディーン・アンガス種、ヘレフォード種、ブラーマン種が多いです。アメリカ産の輸入牛はグレインフェッドとフィードロッドという方法で飼育されています。
グレインフェッドとは穀物を中心とした栄養価が高いエサで肥育する手法です。エサを穀物にすることで、肉質が柔らかくなるとされています。
一方、フィードロッドは出荷前の牛を柵で囲って濃厚飼料を使って飼育する手法のことです。適度な脂肪を持った、滑らかで柔らかい肉へと仕上げられます。

・オーストラリア産（オージービーフ）

オーストラリア産は、アンガス種、ヘレフォード種、ショートホーン種・マリーグレー種などがあります。オーストラリア産の輸入牛は、グラスフェッドという用法で飼育されていることが多いです。
グラスフェッドとは自然の牧草・ワラをエサとして生育させる方法を指します。広い土地を活用し、放牧しながら飼育することで牛の運動量が増え、赤身の多いしっかりとした肉質に仕上がるのが特徴です。グラスフェッドは食肉にしたときの独特な臭いが難点であるため、最近は日本向けにグレインフェッドで飼育をするケースも増えています。